にるるver.

馬鹿げたゲームだと思う。始まってから7時間が経過し、先ほど殺したちーぱっぱの血を振り払った。
「…制服が汚れたじゃない。馬鹿ね、私に襲いかかって来るなんて。」
ため息を吐きながら横たわる彼に目をやり食料と武器を漁る。このゲームに乗ろうと思うのにそう時間はかからなかった。
「だって、可哀想でしょ?可愛いウチの生徒が下らないゲームによって傷つくなんて。」


荷物をまとめ、静かに立ち上がる。はじめはゲームを壊そうとも考えたが、一番使えそうな頭のきれる骸やすみおは多分もう誰かを殺していると容易に想像出来た。話したところで無駄である。ひちゅなのため、すんこのため、他の人が死のうと多分あの二人には関係のないことなのだ。


「悲しいわね。」
これ以上誰かが誰かを殺さないために
「私は、優しいのよ。」

笑いながら先ほどの戦闘で傷ついた腕を舐めた。

したしたと雨が降る。ふと、私はすんこやひちゅなを殺すことが出来るだろうかと考える。多分、無理ね。そう想い、嘲笑する。それでも多分あの子達は怯えて泣いてるから一緒に行動すればいいと思う。遠くから足音が聞こえて身を隠した。紫の頭が見え、すんこかすみおか目を凝らす。出来るだけまだすみおとは殺り合いたくない。武器が不十分なのだ。短剣に銃の2型。(弾はあと4発。補充する弾は誰か持っているのだろうか?)もし彼方がマシンガンなどでも所持していたら?私に勝ち目はない。

「…にるる?」
女の声であった。
「すんこ………!」一瞬、声を失った。何処で私はこの子が乗らないと決めつけていたの
か。ゆっくりと笑う彼女の手にはナイフ。制服は私以上に赤く…赤く染まっていた。

「…乗ったの?」
彼女の焦点はあまり定まっていなかった。
「先生がね…泣きながら言ったの。御免なって、皆を頼むって。」
「貴女だったの…。」
はじめの放送で呼ばれた名は意外なものだった。
『死亡者ーーーキュン吉…死因、刺殺』

「誰にも、殺して欲しくないの。」
すんこは苦しそうに笑う。
「だから自分が殺すというの?とんだエゴイズムね。」
彼女はそれでも笑う。
「にるるも乗ったのね?」
其れは私には泣いているようにしか見えなかったけれども。

「全部終わったら、私もそっちに逝くから。御免なさい、にるる…」

彼女はナイフを構え、私は短剣を静かに下ろし目を瞑った。

「御免なさい。」
こめかみに空いた銃弾。紫の髪の少女が横たわっていた。

「貴女は泣きながら祈ってれば良かったのよ?」

誰かのために自分が殺すなど貴女のキャラじゃないわ、開いた瞳孔を塞ぎ…彼女顔についた血を拭う。


「可哀想なすんこ…」


彼女はどんな想いでキュン吉を、他の奴等を殺したのだろうか。愛する者を殺すというのは、どれだけ悲しいことか私には計り知れない。

『ねえ、にるる。私貴女の本当は優しいところとか面白いところとか、大好きよ。』
『そう、私も貴女の甘いところとか嫌いじゃないわ(財布としてとか、ね。)』
『有難う』

今更思い出す下らない記憶など、消えてしまえばいいのに。
「本当は、貴女を守りたかったわ。」
水滴が、彼女の頬へ流れたのを、知らない振りをした。

「安心して、貴女の願いも叶えてあげるから…私が。」
立ち上がりながら彼女に目をやる。何処か笑っているようにも見えて可笑しかった。キュン吉と先にイチャついていればいい。

「私は優しいのよ。」

彼女のナイフを握りしめ、その場を離れた。

【死亡者…すんこ、死因…銃殺】