彼は・・・・・
「クローム!!」
「あ・・・ったかい・・。」
綺麗な瞳だった。
苦しみと痛みのなか 頬におちた暖かな雫。
震える手は強く 強く・・・
決して離れようとしない。
今まで誰にも必要とされなかった私を必要としてくださった骸様と
私のために笑って泣いて心配してくれて
いつでも暖かく守ってくれたボス。
「ありが・・・・と・・ぼす」
「クローム!!!!」
今まで心でも構わないと想っていた。
誰にも必要とされず
親にすら見捨てられた私。
でも
「・・今君にしなれたら困る。」
骸様に
ボスに・・・・ 皆に必要とされたいと
笑って欲しいと
「生きたいならボンゴレリングを発動させて自分で内臓を描くんだ。」
意識が薄れ逝く中 骸様でもボスでもない声に
「私は まだ・・・」
生きたい
そう 願うのだ。手の中の温もりが消えたとしても
私は 貴方を
「・・一命は取り留めたけど、多分当分は動けないよ。六道骸から連絡があったら知らせて。」
ドアが閉まる。
なぜ一人きりに恐怖を感じるのか。
なぜ何もない手に焦燥感を抱くのか。
ずっと
一人だったというのに。
「クローム ごめんな・・。」
微かに感じるぬくもり。
撫でられた髪が流れる。
強く握られた手も 震えはとまっていた。
「・・・ぼ・・す・・」
「無理に話さないで。ごめんね起こして・・・。」
首を振るとボスは静かに微笑む。
「・・・あと五日後に・・クロームも狙われたけど・・あの敵を倒しにいってくる。」
「そしたら・・ちゃんとクロームと一緒にいた千種さんや犬さんにも会えるし
体も治るから。」
苦しい想いをさせて ゴメン・・・・
もう一度彼は苦しそうに謝った。
「あやまらないで・・」
優しすぎる彼に泣きたくなる。
貴方を守りたいと 貴方のために戦いたいというのに
「役にたてなくて・・ごめん・・なさい」
ボスが悲しそうな顔をしたのは何故か。
「俺は・・クロームが居てくれるだけで生きてくれているだけで 嬉しいよ?」
優しい瞳に 優しい声に 優しすぎる貴方に
締め付けられる胸。
「きっと・・骸も救って見せるから。」
待っていて。
俺の命に代えても・・・そう聞こえたのは何故か。
「ぼす・・・・・」
「ん?」
「キス して?」
「なっ?!!!」
起き上がることの出来ない体を
何も出来ない自分を忌まわしく想う。
「私は・・何も出来ないから・・・」
必ず 帰ってくると
約束してください。
「・・・・クローム・・・」
「だめ・・・?」
目をそらされる。 手が
離れた。
急に冷たくなっていく手。彼のあたたかな手が額に触れる。
一瞬だけ触れた唇
「・・・・で・・こ・・ちゅう・・・」
「うるさいな!!!!!!そういうのは帰ってきてから!!」
「・・・帰ってきたら・・してくれるの?」
「・・・・。」
返事はない。
しかしそっぽを向いたボスの耳は
たこのように赤くそまっていた。
「・・・待ってるわ。」
痛みが 和らいだような気がした。
end