ただ校門で彼が出てくるのを待っていた。見慣れた頭が見える。
「今日和。ボンゴレ10代目。」
彼はその言葉に反応し、慌ててこちらへと振り返った。いつも会うときは私服姿だったせ いか、彼のブレザー姿は新鮮に感じる。
「骸…さん。」
微笑んで笑う私とは対照的に、少し驚いているような困惑しているような微妙な表情を浮 かべる彼。そしてこちらへと駆け寄ると「どうしたんですか?こんなところで。」と社交 辞令のごとく訪ねる。
「少し、ボンゴレの顔がみたくなりましてね。」
そう答えると彼は苦笑気味に笑う。まだ・・当たり前だろうけど彼は僕が苦手らしい。出来ればもっと自分をみて笑って欲しいだと か、仲間に見せたような笑顔がみたいだとか…そんな愚かな考えはあるものの、元々彼の 敵という形であった自分が言えることではないし、ただの戯れ言にしかならない。 歩きながらくだらない会話を繰り返していた。ふわりと甘い香りが漂う。それは彼自身か らかそれとも…
「甘い香り…しますね。」
小さく声を漏らすとそれに気付いたのか
「ああ、飴食べてるからかな・・骸さんも食べますか?」
彼が舐めている飴玉からか・・・。
私は笑って「それではお言葉に甘えて」と答えた。僕が何を考えてるかも知らずにポケッ トから甘い苺ミルクの飴をだす。
「僕が欲しいのはこちらですよ。」
どこまで鈍感なのだろうか。彼の体を影が覆う。唇が 重なって初めてその行為に気づいたのか抵抗し始めた。しかしそんな抵抗も虚しく普段の 彼ではこの腕から逃れる力もない。口の中を探り甘い飴玉を転がす。抵抗する力は弱まり 息が続かないからか彼の表情は歪む。それすらも愛おしく感じるものの唇を放した。口に はただ彼から貰った飴玉が残る。
「はっ・・・!」
彼は酸素を求めるように肩で息をしながらも顔を赤くしてこちらを睨んだ。
(上目遣いの 涙目で睨まれたところでただ僕の欲求を増幅させるだけなのだが)
「な・なんのつもりなんですか!!」
声を荒げて警戒するように少しだけ後退る。何と聞かれても飴を頂いたのだと答えると余 計に顔を赤くさせてそっぽを向いた。
「とりあえず嫌な気持ちにさせてみたいでスイマセンでした。」
苦笑しながら謝ると
「そ ういうつもりじゃ…」
と慌てる。相変わらず優しいというか付け込みやすい性格である。
「貴方のそういう所も好きですが少し治さないとつけ込まれますよ。」
忠告がてらにもう一度だけ額にキスを落とした。彼はただ顔を赤くさせて額をおさえた。

「それでは時間もないのでこの辺で失礼しますね。」

作り笑いが得意で良かったとつくづく思う。次…また会える日など来るのだろうか?彼に 背を向けて歩きだそうとする。


「骸…さ!!」

彼にとって自分など煩わしい存在でしかないのだろうに…
名前を呼ばれて思わず振り返る。
「また…明日!!」
照れているような…少しだけ困っているようなそれでも、初めて自分に向けての笑顔。ま た明日…いつか会えるなどと言う保証は何一つないと言うのに。 きっと彼のその言葉に意味などなかっのだろう。それでも僕の心を動かすのには充分なも ので

 

 

 

「ええ、また会いましょう。」

ただ…笑い今度こそ彼に背を向け、歩きだした。口の中にはやはり甘ったるい飴の味だけ が残っていた。

(笑顔が頭から離れないなんて自分の重症さに苦笑するしかない)
ーENDー